甲波宿禰神社(かわすくねじんじゃ)は、群馬県渋川市行幸田にある神社。祭神は速秋津彦命、速秋津姫命の2柱。旧社格は村社。

由緒

渋川市川島の甲波宿禰神社の社記によれば、文安年間(1444年 - 1449年)に同社から当社を分祀したとされている。

『上野国神名帳』一宮本に見える「従五位上 甲波明神」を当社にあてる説もあるが、「赤波明神」とする異本があることや、甲波宿禰神社を「宿祢神社」と略した例はあっても「甲波神社」と略した例がないことが指摘されている。

『神明考証』では賀袁真稚命(かおのまわかのみこと)・大水口宿禰命(おおみなくちのすくねのみこと)を社名の由来とし、宝永4年(1707年)の創建とするが、神社所有の古筆写に元和8年(1622年)「湯上村に神定仕候」とあることからこの時に分社されたとも考えられる。

天明6年(1786年)に書かれた紀行本『山吹日記』(奈佐勝皐)には、「湯の上のひたりのかたに、いと陰たかくふりにし社あるはハ甲波宿祢のやしろと聞ゆ」と記述がある。

現在の本殿・幣殿・拝殿は元治元年(1864年)の造営である。

社格

  • 従五位上 甲波明神(『上野国神名帳』一宮本)
  • 宝永4年(1707年)11月 宗源宣旨
  • 明治6年(1873年) 村社
  • 明治39年(1906年)12月 - 神饌幣帛料供進指定神社

祭神

主祭神

  • 速秋津彦命
  • 速秋津姫命

境内社

甲波宿禰神社の社殿左側奥に鎮座する境内社

  • 石尊大権現 - 相模国大山阿夫利神社から勧請。

石尊大権現の石碑の奥に鎮座する境内社

  • 東諏訪神社、西諏訪神社 - 明治42年2月16日に合祀した。なお、東諏訪神社、西諏訪神社に奉納されていた行幸田の獅子舞は、現在は甲波宿禰神社に奉納されている。
  • 稲荷神社(束田窪、前田窪、後田窪、二本木)
  • 八坂神社、北野神社、白皿神社、大名持神社

甲波宿禰神社の社殿の周辺を囲むように鎮座する石祠群

  • 天満宮、稲荷社、日枝社、淡島大明神

甲波宿禰神社の社殿の周辺を囲むように鎮座する石碑群

  • 天満神
  • 少毘古那神、大名牟遅神
  • 御嶽神社、阿蘇神社、古御嶽神社
  • 八坂大神

行事

  • 春祭(4月17日に近い日曜日)
  • 秋祭(10月9日)

文化財

渋川市指定重要無形民俗文化財

  • 行幸田の獅子舞(昭和50年1月30日指定) - もとは東諏訪神社・西諏訪神社の神事として伝わったもので、悪魔払いや五穀豊穣を祈願する。腰太鼓の胴の内側に安永2年(1773年)の紀年がある。鹿島流と伝えられる一人立ち獅子で、雄獅子2、雌獅子1、棒使い2、かんかち1、ささら1、笛師、謡方から構成される。

交通

  • JR上越線渋川駅から日本中央交通の渋川タウン線「渋川温泉行き」に乗車。バス停「行幸田」下車。
  • JR上越線渋川駅から関越交通の高崎線「高崎駅西口行き」に乗車。バス停「行幸田」下車。
  • JR上越線高崎駅西口から関越交通の高崎線「渋川行き」に乗車。バス停「行幸田」下車。

脚注

参考文献

  • 群馬県群馬郡教育会『群馬県群馬郡誌』群馬県群馬郡教育会、1925年10月20日。doi:10.11501/1020918。 
  • 群馬県地域創生部文化財保護課『群馬県近世寺社総合調査報告書-歴史的建造物を中心に-神社編』群馬県前橋市大手町一丁目1番1号、2022年3月18日(原著2022年3月18日)。doi:10.24484/sitereports.121895。 NCID BC14492681。https://sitereports.nabunken.go.jp/121895。 
  • 渋川市市誌編さん委員会 編『石造物と文化財』渋川市、1986年3月31日。doi:10.11501/12424075。 (要登録)
  • 渋川市市誌編さん委員会 編『渋川市誌』 第2巻 通史編・上 原始~近世、渋川市、1993年3月31日。doi:10.11501/9644681。 (要登録)
  • 渋川市市誌編さん委員会 編『渋川市誌』 第4巻 民俗編、渋川市、1984年10月1日。doi:10.11501/9643284。 (要登録)

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